大間町商工会が原発誘致のための環境調査を町議会に請願してから三十二年が経過

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着工 大間原発

(中)地域経済 業者は波及効果を期待
(2008/05/29)
 大間町商工会が原発誘致のための環境調査を町議会に請願してから三十二年が経過した。同町と、隣接の風間浦村佐井村の商工業者で組織する北通商工事業協同組合の長谷龍二理事長は「長年待ち続けた原発。町の活性化と雇用対策の起爆剤として期待している」と着工を歓迎する。
 電源開発によると、工事のピーク時には約二千五百人の作業員が三町村に入るという。町商工会の松山義文会長は、作業員らが地元で消費する経済効果を約六十億円に上ると期待する。
 だが、商工関係者には度重なる着工延期により工期が短縮され、小、中規模の業者に十分な波及効果が表れるのか、不安も残る。
 町内のある商店経営者は「過剰な期待はしていない」と冷ややかな表情。長谷理事長も「できれば当初の計画通り、五、六年かけて工事をしてほしい」というのが本音だ。
 町内では昨年、大型スーパーが開店し、今年四月にはドラッグストアもオープンした。商店街の男性店長は「着工までの間に、大手の流入で地元商業は低迷してしまった。着工がもっと早ければ…」と残念がる。
 松山会長は「大型の域外資本の流入は時代の流れ」と冷静に受け止め、「地元商工関係者が創意工夫し、ビジネスチャンスを生かしてもらいたい」と期待を込めた。
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 町は原発を「まちづくりの起爆剤」と位置付ける。
 これまでに交付された電源立地地域対策交付金は総額約八十億円。これを基に、大間、奥戸両小学校の改築、改修、海峡保養センターや総合開発センターの改修など教育、防災、医療など基盤整備事業を重点的に進めてきた。
 町企画調整課は「自治体として整備すべき事業はほぼ着手済み。目標は町が豊かになることで、事業を行うことではない」と自信をみせる。
 着工で、電気料金の割引に使える原子力発電施設等周辺地域交付金が新たに交付される。一般家庭の電気料は一戸当たり月額三千円が三年間割引、還元され、法人の還元分は町の事業に充当される仕組み。町は二〇一七年度までに入る法人還元分の約四億五千八百万円で、消防や医療の機器、設備の充実を図る考えだ。
 さらに運転開始後には、四百億円以上の固定資産税が見込まれる。町は役場庁舎と消防庁舎の新築移転も計画する。
 金澤満春町長は「発電所ありきではない」というが、町の基盤整備に当たって、原発が不可欠の存在であることは間違いない。